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【東條(司会)】会場質問です。 【質問者1】先程の印象的な話としては、情報の氾濫というのがありました。とりあえずセックスに関してもなんに関しても、映像として提供されていたりとかして、現象として、知ろうと思えば何でも知れちゃうわけじゃないですか。 物ごとを現象、現象としてとらえていく傾向が何に関してもあると思うんです。たとえばセックスをしたいと思うようなときに、AVならAVで何でも見れちゃうわけじゃないですか、さっきの宮台さんの話にもあったんですが、「あっ、オレにはこれは無理かな。こういうとこまではいけないし、こんなことをするくらいならちょっと嫌だな」っていうふうに受け入れられない感じっていうのは、すごくわかるんですよ。 で、ぼくが思っていたのは、現象としてたとえばこういうものがある、じゃあ取りあえずそれをやってみようよってことで、みんなそれにトライするんだけど、結局、その中間を忘れている感じがするんですよ。中間が抜けているんじゃないかって、ぼくはずっと感じてたんですけど。いい映画とかを観ると、中間というものが非常に分かりやすく描かれていると思うんです。でも、それに気付いたところで、情報があふれた社会はもう変わらないわけで、どうすれば、情報に毒されない生き方ができるのかっていうことまでは、分からないと思うんです。せっかくここまで話が出て来ているので、もうちょっと先がほしいなと思ったんでお願いします。 【チョコ】中間っていい言葉ですね。なんでもボタン一つでとか、ページ開けば、といったことは、それは中間がないわけで、女性とつきあうにしても、いきなりすぐできるとか、風俗とかはお金払ったらすぐできるんですけど、でも、中間をとばさないっていうのは非常に大事なことです。古い考えかもしれないんですけど、女性とデートして、最初は手をつないだりとかして、そうやってすぐにやらないということを通して、中間を抜かさないということのありがたさがわかってくるもんじゃないかなと思いますね。ごはんを食べにいったりとか、ドライブしにいったりとか、いわゆる青春時代、デートみたいなことをやっていけば、どきどきもしてくるし、中間にあるものの大事さがわかると思いますよ。だから、本をみてこれをやるとか、さっきでいうSMとかを、つきあっていきなりエッチしてすぐ縛ったりとか、立ってやったりとか (途中断絶) 【宮台】少し補足的なことをぼくなりに考えたんですが、今から10年くらい前に、ゲイの方々を新宿2丁目で取材していたことがあったんです。今はクラブでの出会いがわりと主流になっていて、会っていきなりやらないゲイの人達って、多くなったじゃないですか。でも、昔は今とは違って、出合いの場っていうと、いわゆる「発展場」しかなくて会ってすぐ…。 【チョコ】発展場知ってますよ。サウナとかあったりするんですよね。 【宮台】そうです(笑)。駒込のサウナとかね。ガウンの帯の色があって、赤帯は何歳代を希望、青帯は何歳代を希望とか、いろいろあったりするんですよ。まあ細かい話は横道に反れちゃうんで(笑)。 要は、すぐにできちゃった頃は、出入りが激しくて、なかなか関係を固定してつきあえる相手がみつからない。そういう苦労をしているゲイの人達が多かったんです。ぼくはそのころ、テレクラやナンパにすごくはまりまくってた時期で、わりとナンパの技量も上昇してたころなんですよ。そうすると、割とすぐできちゃったんです。でも、すぐできちゃうと、性欲って射精しちゃうと萎えちゃうんで、そうすると、「なんでこの女がオレのとなりにいるんだよ」って思えてきちゃうわけで、関係を取り結ぶ意欲って減っちゃうわけです。 ところが、しないとなると、性欲が溜まった状態なので、なんとか距離を縮めようとするわけです。あるいは、単に物理的に一緒にいる時間が長いだけで、関係ができあがっちゃうわけじゃないですか。だから、セックスをするまえに、長く付き合って関係ができあがった状態にもっていくと、セックスってまた違ったものになりますよね。でも、関係ができないうちにセックスしちゃうと、やっぱり通りすぎちゃうんですよ。びゅーって(笑)。だから、これは全く物理的なことなんですけど、知恵としてみなさん知っておいた方がいいと思います。 【チョコ】そうですね。恋愛もエッチも時間をかけてやった方がいいですね。料理でもそうですよ。コンビニで売っているものよりも、自分で作ってじっくりと料理した方がおいしいと。そういうことじゃないですかね。 (会場から拍手) 【質問者2】宮台さんにお聞きします。東京とかだと風俗とか出会いの場とかが結構ありますが、地方になるとそういったセックスに出会える機会というのも結構減ってくると思うんですよ。そういった、地方に住んでいて、女性とのセックスの機会に恵まれていなくて、きついと思っている人達には、どういった打開策があるのか。あるいは、そういったコミュニケーションのチャンスをもてない人間がどんどん増えていくということが、どのような現象をもたらすのかということを、お聞きしたいのですが。 【宮台】まずですね、みなさんのような青少年に対して(笑)性の情報をどのように開いたらいいかという判断に関しては、地方によって、随分判断が違ってくるんですよ。たとえば中部地区、静岡とか愛知とかになると、有名な婚姻風習が背景にあることもあって、青少年を性から隔離しようとする傾向がすごくあるんです。でも、岐阜の某所とかは、ソープランドのメッカですよね。それだけではなくて、実際に、静岡にしろ愛知にしろ岐阜にしろ、不倫がめちゃくちゃ多かったりするんですよ。それは青少年には見えないの。みんな裏でやってんだね。「どうもこの街は性について厳しいな」とかって思うことがあっても、裏を知っている大人の話とか聞くと、「蓋を開けたら大違い」ってことがよくあります。 同じようなことなんですけど、青森県や長野県も含めて、ソープランドの立地を規制している自治体ってかなりありますね。でも、駅前の某所、某区画へ行くと、ピンサロがあって、それが全部本番までやってたりするんですね。ソープランドの1/3くらいの値段で本番ができたりする。そういうのも、青少年には隔離されている情報ですが、裏を知っている人に話を聞いてみると、『あそこにいったら本番までできるぜ』といったことが即座に分かって、自分の住むところが、そんなに性について厳しいわけではないことがわかったりする。 皆さんにとっての不幸は、世代間のそういったコミュニケーションが、今は切れちゃっていることなんですよ。おっちゃんとかおばちゃんの話を、いろいろと聞いたりするチャンスがないから、皆さんは建て前しか知らないんじゃないのでしょうか。だから、そこらへんについてのコミュニケーションの回路を、開いてゆくことが重要です。 なんだかんだいって風俗はありますから、まずは風俗にいってリサーチをされたらどうでしょうか?自分の住んでいる区域はどういう感じなのか?どういうところからどういったお客さんが来るのか?そこで働いている女の子達はどういう子達なのか?そういったところから自分の住んでいる街の性の風景というものは見えてくると思います。 たとえば、静岡とか岐阜っていうのは、テレクラに関しては条例があってすごく厳しいわけです。しかし、面白いのは、テレクラマニア達がすっごくたくさんいて、テレクラ互助会みたいなものがあったりするんですよ(笑)。そこで情報交換するわけです。なんで情報交換するかというと、そういう田舎は、テレクラで人に会うと、知り合いだったということが多いからですね。「角の豆腐屋の女将に会っちゃったよ」ということになるわけです。実は田舎っていうのは、日本古来の伝統のゆるさってものがあるから、知り合いでも会えばやっぱりセックスするわけ。そうすると、『こないださ、豆腐屋の女将とやちゃったんだよ』みたいな情報を交換して、そうすることで自らの地域のイメージを豊かにしているんですよね(笑)。『そうか。表面上は健全育成条例とかって回覧まわってるけど、俺達の地域も裏ではいろいろあるよな』って。こういう感じ。ぼくはこれは超OKだと思うんですよ(会場から笑い)。 そういった情報にアクセスしてゆく機会を、先ほどの風俗も含めて、作ってゆくことが大切だと思うんですよ。性が本当にきれいに隔離されているような場所は、日本にはないです。ぼくのフィールドワークの経験から言うと、一つもないです。そう見えても、必ず裏があります(笑)。 【質問者3】現場に関する質問です。数年前にTVで「電波少年」をはじめとするドキュメントタッチの番組が流行ったとき、AVでもドキュメント系の作品がありました。定番なのは女優さんが何十人もの人間の前で本番をやらされて、それを何本も撮られて、といったきつい状況の中で泣いてしまうというもので、自分はそういったものを結構好んで観ていたんです。実際TVの方はやらせやらせと叩かれてるじゃないですか。自分が本気になって観ていたAVでもそんなことになっているのかなって思うと結構萎えてきちゃってるんで、そこのところが実際どうだったのか教えてもらいたいんです。向井さんだったら、そういう脚本のこととかまで御存じだと思ったので。 【チョコ】それは、本当のことを聞きたいということかな?でも本当のこと言っちゃうと夢がなくなっちゃうからね。(笑) でも、ドキュメントもののなかでも、何人もの目の前でやらせて泣かしちゃうっていうのは、結構本物ですよ。わざと嫌いな男優あてたりとか、わざといやなことさせたりとか。嫌だっていう素の部分を見せたりするのは、本物だと思うんですよ。 あとは、「電波少年」でなぞったようにヒッチハイクしたりだとか、あのへんは完全なドキュメントではないですけどね。成りゆき上お金と時間がかかっちゃうんで。 皆、これが一番疑問だと思うんですが、ナンパもの。ナンパものとかは、メーカーとか作っているところの方針によりますね。100パーセント本物でやっているところもあれば、ちょっと演出をいれるところもあると。半分本当で、半分嘘っていうのは、よくありますね。 ナンパものはよくやったんですけど、本物は時間かければ結構できますよ。そのへんを歩いてて、『ちょっとビデオ出てくんない?』とかって言って、『嫌だ』っていったら、『じゃあちょっとパンチラ見せて。』とか『胸だけ見せて。』とかって言ってたら、だんだんのってきて、そのうち『じゃあ、ちょっと舐めてみてよ』とか『じゃあちょっとやってみようか』って、ホテルまで行っちゃうパターンとかありますからね。だから、時間さえかければなんとかなるんですよ。だた、ちょっと手間がかかる場合は、演出上少し省いていますね。そんな感じです。 【質問者4】ぼくは前にいる3人とは違って、自分をさらけだせない人間なんです。なので、3人それぞれに、アグレッシブに生きるためのアドバイスをいただけたらと思います。よろしくお願いします。 【チョコ】今、なんかさらけ出せそうな声で一生懸命しゃべってくれましたよね(笑)。これがあなたが一番今の自分をさらけだした姿だと思うよ。だから、こういったちょっとした勇気を持って、ちょっとしたことから始めて下さい。そうすれば絶対もっとビックになれますよ。どうです? 【東條】自分はめちゃめちゃ内向的な子だったんですけど、いつのまにか、周りの人や規則にしばられないようになってたんですよ。規則って何?って感じで。だったら、自分らしく生きていくには、自分をしっかりもって、日々磨いていくしかないわけです。そうすると、自信もついてくると思うんですよ。ぼくは外見上はだめですが、精神的なものに関しては徐々に自信をつけつつあります。それは自分を客観視して、向井さんもおっしゃったように、ちょっとづつ勇気を出してゆくことが大事なのではないかと思います。 【宮台】ぼくは、あなたってことを特定していいのかよくわからないんですけど、承認、つまり受け入れてもらうことがすごく大事だと思うんですよ。たとえば、ぼくが知っているある男の子は、非常に暴力的で、アグレッシヴで、ヤバい人だったんですけど、バクシーシ山下さんのAVに何回か出てもらったら、すっごく丸い奴になったんですよ。 彼はAVで童貞喪失を果たしたんですね。自分では一生セックスできないと思っていたけれど、ちゃんとセックスできて、たった3回しか出てないけれど、すごく丸くなって、加えて君の言うような、ある種の前向きさも手に入れたんですよ。彼にとっては、セックスを通じて承認されたということが、あると思うんですよ。 同じようなことなんだけど、ぼくが80年代に新興宗教を調べていたら、新興宗教って、風俗とかで働いている女の子とかが結構いるんですよ。創価学会もそうで、都市の宗教というのは、もともとそういうところがあるんです。これは冒頭で向井さんがおっしゃっていた話とちょっとかぶるんですが、性に関わる仕事をしていると先程いったように、性を通じて承認されるというよりも入れ替え可能になっちゃうわけですよ。通り過ぎる感じになっちゃう。そうなると、性を通じて承認されないぶん、自分を丸ごと全体的に承認してくれるものとして宗教に行く。そういう人達が80年代には出て来ましたよね。 そういうふうに考えると、皆がそうだとは限らないけれど、一部の人は、まず丸ごと承認してもらう──何が丸ごとかってことは難しいんでイメージとしてなんだけど──、そうすることで、前に踏み出せるとか、人に対して寛容になれるということが、あると思うんですよ。その全面的・包括的な承認というものが、一人の相手から得られるのか、宗教のようなものから得られるのか、あるいは100人とか1000人の女の人とセックスすることでその全体から得られるのか、よくわからないけれど、なにかそういうふうにして自分が承認されているという感じが、どこかで得られれば、前に進むことができるようになるのではないかと思います。 【チョコ】あと女性(の質問者)の方いらっしゃいませんかね。 【質問者5(女性)】不感症の人とセックスするには、どうすればいいんですか?あともうひとつ、インポの男の人を勃起させるには、どうすればいいんですか? 【質問者6(女性)】さっきのお話で、キスをした瞬間に、女の子が何を求めているのかがわかるというのがあったのですが、実際は女の子のことを考えてくれている男性というのは、非常に少ないと思うんですよ。それでも、よいセックスをしようと考えているとき、女として男性にどう答えていけばいいのかというところを、うかがいたいです。それがひとつ。あともう一つは、関係がまだできてないときにセックスをしてしまうと、その後の関係がつくりにくいというお話があったのですが、それでもやっぱりいい関係を作っていきたいと考えたときに、どう努力していけばいいのかというところが質問です。 【チョコ】なるほど、後半の質問は難しいですね。 まず不感症からいってみましょうか。これに関しては、なぜに不感症なのかというところがあるんです。相手の人が下手くそだったら不感症にもなるだろうし。あとは、時間が短かったりとか、やり方がわるかったりとか、いろいろな原因があるんですけどね。あと触っている場所が違ったり、ポイントがずれていたり、ちっちゃい頃にレイプっぽい経験があったりして受け付けなくなったりとか。そうやっていろんな原因があるんですよ。 不感症に関しては・・・・気持ちでやればいいんじゃないですかね。 ぼくら男優は、あんまりイカそうとかって考えてないんですよ。イカしてやろうって思う程ダメなんで、だから相手のここがいいんじゃないかとか探りながらやっていくんです。だから、不感症も経験で対処していけばいいんじゃないですかね、もちろん、誰とでもってわけじゃなくて、一人の相手と時間をかけて。そうしたらいい関係になって、不感症も解消できるんじゃないかと思いますね。 あと相手の努力も必要ですよ。やっぱり、男性が一人で自分だけ気持ちよくなろうとかって考えてたら、不感症もいつまでたっても治りませんよ。 女性に関していえば、不感症というものはまずないです。感じない女性というものはいませんから。感じない女性がいるとしたら、それは男が女の格好をしてたりとかそんなケースじゃないですかね(笑) あとインポを治す方法はですね。難しいですね、これもやっぱりお互いの努力かな。『勃って、お願い』とかじゃなくて、『勃たなくてもいいからね』っていう感じで癒せていければ、自然と治って勃つと思うんですよ。 変に期待を持たない方がいいですね。『勃たなくてもいいわよ、私たちはそんなのでつきあってるわけじゃないんだから』っていう気持ちがあれば、そのうち、いつの日か、むくむくっと勃ってくるんじゃないですかね。 それか、今手っ取り早いのはバイアグラ。あれがあれば勃ちますよ。バイアグラは勃たなくても勃ちますから。9割がた勃ちます。それよりも、精神的な面で癒してあげた方が、いいと思いますね。 次の質問なんですけど。キスだけで・・いないかなそういう人。でも、長い付き合いをすれば、そういうふうにわかってくれる人は、絶対でると思うんですよ。 それからやっぱり、そういう人を求めるのであれば、すぐにやらせない方がいいですね。体目当てだったり、ちょっとやりたいだけっていう人であれば、キスしただけでっていう人にはぜったいならないだろうし、キスどころか、キスさえも面倒臭くて、すーっとすぐに下にいくような人かもしれないですからね。 本当にキスしただけで、キスだけで、もうセックスはこれでいいわって、思えるような人と出会えれば、いいんじゃないですかね。そのために、自分を大事にしてほしい感じです。 あとは・・・関係ですか。それも、今のと同じだと思いますよ。あんまり無駄なエッチはしない方がいいと思います。ちょっと気分でノリでやっちゃえーみたいな、そういうのはやめた方がいいです。この人と本当にやりたいなて思えるまでは、キスするだけとか、手を握るとかしておけばいいと思います。それだけ自分を大事にしていけば、いつか素晴らしい人と巡り合える気がしますね。 【宮台】ぼくはかつて2ヶ月間だけインポになった経験があるんですよ。それはレイプされた女の子たちの話を大量に聞いたら、ぼくの方で心理的におかしくなったようで、それで全く勃たなくなりました。回復のきっかけはですね、いくつか行ったクリニックのなかで、ある漢方のクリニックの先生がおっしゃったことが非常に効果的だったんですよ。「もしかして強壮剤とか飲んでませんか?」「はい、がんがんに飲んでます」「すぐにやめましょう」って。 簡単なことなんですよ。つまり、勃たないというのには、単純にエネルギーがなくて勃たない場合があります。いわばメランコリー(鬱状態)ですね。あと、エネルギーはあるんだけど、空回りして勃たない場合があります。これはディプレッション(抑鬱)だよね。ぼくは、後者の場合だったんですよ。だから、そういう場合は、車でいうとアイドリングの回転を下げることが大事なわけだから、強壮剤を全部やめて、リラックスして、とにかく興奮のレベルを下げる。浮き足立っている部分を、全部取り除くわけです。 だからさっきの質問の例でいえば、女の子の前で焦って「やらなきゃ」とか「勃たなきゃ」とかって思っていると、ディプレッションの場合には、絶対勃たなくなっちゃうんですね。で、強壮剤飲ませたりとか、焼肉食わせたりとかすると、ますますプレッシャーで勃たなくなっちゃいますから(笑)。セックスはいいよ、ということで、取りあえずリラクゼーションにもっていくことが、大事なのではないでしょうか。 あと不感症について言うと、体についてはもともと感じる性能はあるに決まっているわけで、あとは心に鍵がかかっているんでしょうね。心の鍵をどう取り除いていけばいいのかというところは、難しくて一概には言えない。 トラウマのせいもあるだろうし、なにか自分が認められたい部分が認められていないと感じているせいもあるかもしれない。他にもたくさんあると思うんですよ。それには、優秀な方のカウンセリングを受けるとか、そういったコミュニケーションの力量のある方と時間をかけて心のどこに鍵がかかっているのかということを模索してゆく作業を、行なうことが必要だとは思います。 2番目の話ですけど、確かに女の子が今何を感じているのかということを敏感に察知できる男というのは、日本では少ないと思うんですよ。そういう修練を積むチャンスが日本にはない。つまり、社交のテクニックを磨くチャンスがないからです。だから、さっきのパラダイスTVの場合でも。同じ年代の男性スタッフと女性スタッフをくらべると、やっぱり男性スタッフだけが形にこだわっているし、それこそ「ガンシャしたら、いっちょあがり」みたいな感じ。番組を作るときも形にこだわってるんですね。SMとかセックスを定義するときも、いつまでも形にこだわっているわけ。 でも、女の子はやっぱりそうじゃなくて、そこに出演していた子達は、プロのコも、素人のコ仕事も含めて、ぼくの話を聞いて、「そうなんです。そうやって、こころの内側を分かってくれる人がいればいいのになって思うのに、でも、なかなかいないんですよ」って言うんです。それで、なかなかいないから、何が起こっているかというと、一極集中ですね。そういった力を持った向井さんのような方に、多くの女性たちが集中してくるわけです。「FUU」とか「KIREI」とかいった雑誌でもそういった現象が起こっていました。 暫定的には、そういう力を持った男の人に一極集中してしまうといった状況を、どうしのぐのかを、あなたの責任で決めて下さい。力のある男の人には、多くの場合一極集中しています。それでもいいと思って関係をもつかどうかを決めて下さい。 出会い頭にセックスしちゃったあとの関係というのは、ぼくからは一概に「こうすればこうだ」とはいえないです。 ぼくは、今の奥さんとは、最初に出合い頭にいきなりセックスしてしまったんですよ。その後いろんなプレイをしてしまって、だんだんプレイに飽きて性欲的には萎えかかったんですけど、その後いろんな偶発事情から地獄の修羅場を見まして、それをなんとか生き抜いて、気がついてみると、横にいると安らいで、いつでもセックスできるような感じになったんですね。ぼくの場合は、修羅場を通じて関係ができたケースですね。 あと、ぼくは当時、非常に不幸なナンパ師だったんですよ。当時、「あなたはナンパ・サイボーグだ」って彼女に言われていましたけれど、女を女として、人間として見られなかった部分があったんですよね。そこを的確に指摘されて、痛いところをつかれて、「一緒に解決していきましょうね」ってカウンセリングみたいなことをされて、それがちょっと効いたのかもしれません。これはぼくのケースだから、一般化は出来ないと思うけれども。 【チョコ】なるほど。でもさっきのインポについての話だったんですけど、一ついい考えがあったんですよ。このたびですね、じゃんっ、このドリンク剤、チョコボール向井プロデュース精力剤がですね、7月1日から全国の契約薬局店で販売されます。「プロマガンダ・ドリンク」という名前なのですが、パッケージに私の写真がばっちりはいって、元気がもりもりでるようなやつでーす。このドリンク・・・(一気に飲み干す?) あ゛〜 これで、勃ちます。 (会場から拍手の嵐) 【宮台】高校生っていうのはこの中でどれくらいいらっしゃるんですか? (いない) 【宮台】残念。さっきまでいらっしゃった女子高校生御一行様は、お帰りになられたんですね。じゃあ次にいってください。 【質問者7】今後のAV業界やH系メディアに、どういったことを期待されているかを、お二方にお聞きしたいと思います。今、情報の氾濫云々といわれていますが、今後どうなってゆくのか?どうなってほしいか?こうなるであろう、といったことをお聞きしたいです。 【質問者8】真面目な話になってしまうのですが、向井さんと宮台さんの両方に、ひとつずつ質問があります。 自分は中国とかアジアへ旅に出ていて、アジアの他の国々と比べると、日本っていうのは、風俗関係でも、ある種、精神的に病的なものがあるなっていうことを感じて、帰ってきたんですよ。宮台先生が『野獣系で行こう』という本の中で、普通の女子高生達がテレクラにはまってゆくということを書いていらしたと思うんですが、そこには愛情の欠落というのがバックボーンにあるのではないか、と感じながら読んでいたんです。アジアからぼくが帰ってきた後に、妹がそういったことに引っ掛かりつつあるという現状がありまして、そういう人に対して、そういうときに、具体的にどのように対処すればいいのか?それを宮台先生にお聞きしたいです。 あと向井さんへのお聞きしたいことは、さっきもおっしゃられていたような、キスだけといったわずかな絡みだけで、相手の女性が何を求めているのかがわかるといった感受性は、どうすれば得ることが出来るのか?といったところです。 【チョコ】今後のAVですね。今、インディーズとか、セルビデオが、ものすごく氾濫していまして、本数は出てるんですけど、クオリティーはめちゃくちゃ下がっています。昔は、レンタルで、単体もので、1本ものしかなかったんですけど、今は、1つの撮影で2本撮り、3本撮りは当たり前って感じで、物すごくレベルが低下してるんですよ。男優に関しても、私たちのようなレベルの男優はつかわないで、それよりもっと低い男優を2人とか3人使って、とにかく映像に残して、それを複数に分けて販売するって感じですね。 なぜ、そんなことをするかといいますと、AV業界も、今後のことを見越しておりまして、何を今後狙っているかといいますと、ずばりDVDなんですよね。だから、とにかく膨大な量の情報が欲しい時代なわけですよ。だから、AV界は今、つまんない作品がいっぱい出て来ているんですよね。 どうなってほしいかといいますと、昔に戻ってほしいですね。ビデオが創成期の頃に。まだオナニーものが主流だったり、ダイヤモンド映像にいた村西さんのような味のある人が撮る一本の作品が名作だといわれるような、そんな作品がつくられるような時代に戻ってほしいですね。どう思いますか? 【宮台】たとえば、代々木忠さんとか、村西透さんっていうのは、物すごい苦労をされてこられた方で、やはりコンプレックスも強かったであろうし、時代の力も大きくて、性について独特のロマンティックな思いもあった。だから、男優さん女優さんのみならず、監督という作り手さんにも、非常に強い意志の力があったように感じられました。 ぼくの知り合いで、セックスに関わる雑誌を作っている方が多いんですが、そういった今述べたような部分が違っていて、全体的に自分のやっている仕事に対して誇りを持っていない人が多いし、どうでもいいものとしてやっているといった感じです。つまり昔とは逆の状況になってきているんですよ。昔みたいに、性の仕事をやっていることが、世間的に後ろ指をさされていた時代の方が、圧倒的にテンションが高かった気がするんです。だからその意味でも、確かに時代のせいでもあるんだけど、残念だなという気もします。 【チョコ】それは作り手の責任ですよ。いま監督をされている人達っていうのは、ここにいる方々よりもちょっと上の年代の方々で、そういう人達は、ろくにセックスの経験もなくて、AVとか雑誌をみただけで、見た目だけでコギャルもん作ってみようかとか、そういうところで作ってるんですよ。それで、今は、味のない作品が出ちゃうんですよね。昔の監督っていうのは、バックボーン、経歴調べたら、すごいんですよ。代々木さんなんかヤクザをやっていらしたし、村西さんは百科事典を年間ずっとトップセールスでやっていたりされていた方ですからね。昔は、そういう人間の器が大きい人が撮ってたんで、面白い作品が出来ていたんですよ。今の状況っていうのは、監督に問題があるんじゃないかな、やっぱり。 【宮台】向井さんがさっきおっしゃられていたとおり、今は見かけでセックスを判断するひとが多いんですよ。「FUU」とか「KIREI」とかで組まれた『AV男優としてみませんか?』みたいな企画が、本当によかった理由っていうのは、やっぱり人間の心の中に入り込んだ企画だったからですよね。だから、見かけはどう見えるかはわからないけれど、セックス問題に関しては、心の中の要因が大半を占めていて、それをどうするのかによっていいセックスができるのか、悪いセックスになってしまうのかどうかが決まってくると思うんですよ。 だから、心の中をどうケアしたり、どうわかったりしたらいいのか、っていうことを、明らかにすれば、読者はもっと幸せになるし、また、そこが大切なんだってことを、まさに性に関わる仕事をされている方におしゃっていただくことが、大切だと思うんですよ。 【チョコ】そうですね。今後優秀な監督が出てくれば、いい作品も出て来るだろうし。ちなみに、自分も監督やっているんですよ、AVTっていうメーカーで。今後、力を入れていこうと思うんで、よろしくお願いします。 それとさっきの質問ですね。キスをしただけで相手の気持ちが分かるような男性には、どうすればなれるのか?それはですね、あんまりガツガツっとしなければいいんじゃないんですかね。だから、キスだけで終わっても十分なようにする。それ以上に早く進めようとか、したいとかって思わないで、余裕を持った人になれるといいですよね。そういう意味で、このAV男優の仕事というのは、やればやるほど、悪い言い方したら飽きてくる、というのがあるんですけど、逆に言えば冷静に見られるようになるんですよ。だから、経験を積めば、余裕をもてるようになって、キスだけでも十分に相手を満足させるような男になれるんじゃないかと思います。 【宮台】さっきのテレクラ絡みの妹さん問題の解答ですね。まず一つ目は、テレクラを初めとする出合いメディアって、今すごいたくさんあって、そこで出会ってセックスするっていうのが、今物すごく広がっていますよね。 ちなみに、二十歳を挟む16歳から25歳の若い世代の人の7割にメル友がいますよね。だから、カップルとしてつき合っていても、相手にメル友がいるっていうことが、若い世代では自明の前提になってしまっています。あと、30歳前後の奥さんにも52%、つまり半分にはメル友がいるんですよ。この1年間で、3倍に増えましたね。だから、男の皆さんは、たとえ結婚しても、まず確実に奥さんにメル友がいるという状況ですね。その方々の少なくとも1/4は、実際に相手に会っているわけです。よくもあしくも、それが現実です。大事なのは、そういう現実について、どうこう評価する以前に、因果関係についてどういうイメージを持つのかってことなんですよ。 個人的なことを一つ話しますね。こういうナンパ的な出合い、テレクラ的な出合いって、日本全国にどこでもあるんだけど、地方によって、雰囲気は全く違います。ぼくがテレクラマニアだった頃──今から6〜7年前としましょうか──、たとえば青森とか沖縄っていう場所は、一種独特の場所で、知らない人と会っても、めちゃくちゃいいセックスができました。それは、出会う相手を「赤の他人」という風に思ってないというのがあるんですよ。どこそこに住んでいるってだけで、だいたいどんな人なのか、どんな生活をしているのか、わかっちゃう。だから最初から親し気に出会えて、最初に男の車に乗った段階からめちゃくちゃ打ち解けているというね。 今では、そういう人なつっこさを、ぼくたちは失っていて、日常からして、完全にビジネスライクになっちゃっている状況があるんです。だから、匿名メディアにおける出合いも、そのぶん貧しくなっちゃっているし、危険にもなっている。つまり、相手をちゃんと人間として観ていないという意味で、危険にもなっている。そういう意味で、匿名メディアって一言で言っても、昔はありえた人格的な出合いと、そうでない非人格的な出合いっていう両極があって、どうも非人格的な出合いっていうのが主流になりつつあるという状況が、まずはあります。 あと、さっき向井さんが瞬間恋愛という表現をされたんですが、これは昔、東ノボルさんという有名なライターの方がつくった言葉なんですよね。 【チョコ】そうですね。東さんももう亡くなられてしまったんですけどね。 【宮台】ぼくも、瞬間恋愛を大切だと思ってるんですよ。なんでかっていうと、さっき向井さんがおっしゃられて、ぼくもちょっと言ったんですけど、やはり愛ってよく分からないし、愛に関しては経験を積めば積むほど、だんだんわからなくなって、ぼやけてゆく部分があるんですよ。ただ、こういうことだけは言えるんです。わからなくなってきちゃってはいるけれど、若い頃にはこういう関係を持ちたいと思っていたとか、こういう関係が理想だと思っていた、そういう思いの「かけら」っていうのは確実に記憶に残っているわけですよ。 たとえば、青森とか沖縄にいて、ぼくがもっともいいセックスが出来たと思う経験っていうのは、やっぱり瞬間恋愛なんですよ。簡単に言えば、「本当はあり得ないけれど、あり得たかもしれない関係」というのを、一瞬夢想して関係を生きるわけです。結局は、1日2日のセックスで、結局は別れちゃうわけだけれど、「ずっとつきあってたら、こんなふうになるのかな、あんなふうになるのかな」ってお互い思い合えるような、そういう関係ですね。でも、実際そんなふうに長くつき合っちゃったら、幻滅もするだろうし、冷めちゃいもするんでしょう。だから確かに、そっちの方こそが現実です。でも、現実だけでは殺伐としてしまうこともある。だからこそ瞬間恋愛で、一瞬の夢を見る。 「あり得たかもしれない」関係っていう想像力の次元でスパークするっていう恋愛の仕方っていうのが、出会いメディアの中に、ぼくはあると思うんですよね。妹さんがテレクラ的なものにはまるとき、そこに何を求めているのかってことはわからないんだけども、出会いメディアに対する偏見というものがすごく強いから、あえてそれを解く方向で言うと、出会い系メディアを、そのような瞬間恋愛的なものの享受に使うというやり方というのがあり得ます。でも、これも誰かが言わないと、そういうふうに使えるということが、経験の少ない若い人にはわからないですよね。 【チョコ】使いようってことですか? 【宮台】その通りです。これにしか使えないんだろうと思い込んで、すごく貧しいイメージで、使っちゃっているひとがものすごく多いんですよね。 【司会者】お二人とも今日はどうもありがとうございました。 (終わり) |